<harmony/>


[tag: book]
<definition>
    <i: human>
        <d: a patchy existence>
</definition>

個人とは何かに関する考察が悲しいほどに行き届いていると思う。
伊藤計劃の天才さが伺えた。
ある意味ハッピィエンディングだが、こんなことになるくらいなら、 人類にとってのエンドロールが始まる前に席を立ちたいものだ。
A really sad story on what is an individual, which implies Project Itoh's genius.
This ending can be counted as a happy one indeed, but I'd rather vacate my seat before the credits if we cannot help but fall into this result.

<list: to discuss>
    <i: 状況の多様化が意識を生み出す。>
    <i: 双曲線関数で畳み込まれたパルス波の選択的発現。>
    <i: 意識をもつことが脊椎動物には実装しやすかった。>
    <i: 自己嫌悪とは。>
</list>

2012-06-05 追記
結局、ハーモニーの何が恐ろしかったのかというと、 やれ平和だ愛だと叫ばれる理想が「実現」された状態として、 ハーモニーのエンディングの世界が描かれていることだ。
大まじめにあの世界が理想的だと思う読者はそう多くないであろうが、 確かにあの世界は「理想的」であり、それが否定できない。
ではその世界に辿りつきたいのかと言われると、そんなことはごめんだという 意見のほうが多いであろう。
普段何の疑いもなく受け入れていしまう世界の理想像を追い求めた結果を、 あの形で提示したこと。
全ての物語からハッピィエンドを奪い去ったこと、いや、ハッピィエンドの行き着く先を アリジゴクにしてしまったことこそが、ハーモニーの衝撃なのだと思う。