東京物語


[tag:]

例えば、ジグソーパズルという遊びを知らない人に、 パズルのピースを一枚ずつ取り出しながら 見せていったらどう感じるだろう。
Say, you show pieces of a jigsaw one by one to those who don't know it, and then how do they feel?

数センチ角の四角形の薄板の各辺に、 Ωの凹凸がついたもの。
その表面には何らかの着色がされている。
どれも似たり寄ったりで、その一つ一つを 取り上げて見てみたのではなんのことだか さっぱりわからない。
どれもこれも同じような姿形をしているから、 最初の内は見続けていてもちっとも面白くない。
Plates a few inches square with convexo-concave on each edge.
Their surfaces are coloured in any way.
Not much different, and not make any sense alone.
Each has similar shape, which makes it bored to see them.

ふと、ある瞬間を境に、表面の模様が意味合いを 帯びてくるようになる。
いつからだろうか、純粋無垢だった青と白は、 時に空と雲へ、時に海と波頭へと、 その役割を演じるようになっていく。
At some instant, patterns get to be tinged with some nuance.
Simple blue and white take roles as sky and clouds at times, or as sea and crest of waves at other times.

少し前にふと思い立ち、 小津安二郎監督の「東京物語」を見た感想は、 ちょうどそんなようなものであった。