Do not go gentle into that good night


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重力波の会見に出てきたキップ・ソーン博士が監修をしている ということで、インターステラーを見た。
このBDが1400円弱で買えるのは破格だ。

この映画は物理がわかっていればわかっているほど のめり込めるし、その分泣ける映画だったと思う。
昼間に見ていたらその日はその後何もする気が起きなくなっただろう。

地球が荒廃し始め、人口もかなり減少したであろうまでに年代が 下ったのに、核融合炉も宇宙進出も叶っていない近未来。
米軍もNASAも解体された後、秘密裏に復活したNASAが ワームホールを見つけて有人探査機を既に送っているという、 荒廃具合から50年くらい前の時代設定と見紛うまでのオープニングからは 想像もつかないストーリィ展開にあっけにとられるが、 それよりもワームホールの形状や通過時の演出の妙な説得力に 一気にテンションが上がる。

ミラーの惑星がブラックホールに近いために起きる時間の遅れ云々の あたりから、急に相対性理論が現実味を帯びて感じられてくる。
トラブルが起こることで数十分浪費しただけで23年1ヶ月8日を消費してしまう、 ということが、全く実感がないのに頭では何となく理解できるというあたりが空恐ろしい。
23年分のメッセージが届いています、という無機質なTARSだかCASEだかの 声がストレートに心に刺さり、その事実だけで涙が出る。
時間って何だったのか。

マン博士の星とエドマンズ飛行士の星のいずれへ向かうかの下りで 愛がどうのと出てきたあたりはやや興ざめ感が拭えないが、しょうがない。
その後、マンの星から脱出するあたりまでは割と普通の映画である。

ペンローズ過程でエドマンズの星に向かう作戦の中で、 TARSが切り離されるときに2回目の涙。
うーん、クーパーのときには泣けないから不思議だ。

ブラックホールに吸い込まれるときに重力に押しつぶされて死なないというか 意識すら失わないのは置いておくとして、中に入ったら絶対静止の状態が 待っているイメージだったので、4次元超立方体の描写は何故か納得できた。

その後の超展開で伏線が回収されるあたりは、ストーリィは半分くらい どうでもよくなっていて、映像にするとこういう表現になるのか、というところに ひたすら感心していた。

最後に、アメリアの孤独を描きブラックアウトするところで最後の涙である。
お涙頂戴とはちょっと違うが、この映画が泣けるのは、時間の概念が 崩される感覚が不思議と実感されるあたりと、その果てしない距離感に 軽い絶望感を覚えるためだと思う。
v<<cの世界に生きる人間としてはカルチャショックどころではないが、 こういった現象に慣れる世代がいつかやってくるのだろうか。
是非そういった世代の人間にインターステラーを見てもらって、 どのくらい時代考証ができていたかをレビューしてほしいものだ。

2016年の、重力波の発見に湧く世代としては、とてもスリリングなホラーとして 楽しめたのは確かだ。