VRとAI
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VR=Virtual RealityとAI=Artificial Intelligenceは
同一現象への異なるアプローチのように思われる。
人体はセンサの複合体で、外界から入力される情報を
複数のセンサで受け取り、その情報を統合しながら
処理している。
プロセッサ内部における情報の統合のされ方、処理の
され方が無意識あるいは意識と呼べるものに相当する。
VRはセンサシステムを所与のものとしたとき、入力情報の
構造を発見することを目的としている。
つまり、誤解を恐れずに言えば、情報が実在するとして、
それとどのような同一性をもつ情報を与えればセンサシステムの
内部状態を再現できるかという探究である。
一方のAIは、入力情報を所与のものとしたとき、システムの
内部構造を発見することを目的としている。
このとき、内部状態の再現程度を確認するのが難しいと
感じられるかもしれないが、それはVRを体験する人間の場合も
同じ話である。結局は、言語等の記号化を用いた報告を通してしか
確認ができない。
AIにVRを体験させたらどうなるか。
現実Realityが一連の情報から構築されるものだとすれば、
Virtualの各パターン毎に、それをRealityとして再構築することが
可能である。
人間も可塑性はかなり高いと思うが、それでも年齢とともに
次第に固定化していく。
AIの場合、ハードウェアの可塑性を如何に獲得するかという
技術的な問題はあるものの、人間に比べるとはるかに高い
可塑性を実現可能だと考えられる。
AIの方を可変にしておけば、VRの情報量に合わせてそれを現実だと
思うことができるAIになっていけるだろう。
逆にAIの処理過程を固定し、VRを可変にすれば、AIは自らが
現実だとみなす情報を任意の精度で外部出力できるようになるに違いない。
生まれたばかりの赤ちゃんをVR空間の中に置いた場合が前者である。
後者は、ちょうど今の人類である。
いや、自らの内側に、任意の遅延をとった上で外部からの入力情報を
再現し、それを再び外部に出力することも可能な装置として言語を
発明した頃から、人間のVRへの挑戦は続いているのかもしれない。