懲役刑


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自由刑の一つである懲役刑には隔離、抑止、矯正の 3つの目的があるとされているが、同じく自由刑である 禁錮刑との最大の違いは矯正の仕方だ。

懲役刑では勤労の美徳という思想に基づき、労働を課す ことが矯正につながるとされているが、労働が機械に アウトソースされた時代にも懲役刑は残るだろうか。

そもそも、人間が労働しなくなった時代においては、 生きること自体が禁錮刑に近い様相を帯びる。
身体的には隔離もされないし、抑止もされていないが、 やるべきことが用意されずに生きることは、意識を具えた 人間には耐えるという表現が適切なレベルでつらいように 思われる。

その時代においては、絶えず新しい情報に触れ、理由付けを し続けることで意識を保つ努力をすることになると思われる。
意識など失ってしまってよいという向きは、早々に日常の行為を ルーチン化し、すばらしい新世界へと旅立つだろう。

それは「ハーモニー」のスイッチが押された後の世界のように 合理的なものになるだろうか。
そうだとすれば、新世界における自由刑は、VR装置を用いた 強制的な意味付けの促進による、合理的評価機関への収斂 というかたちで矯正を行うというものになる可能性すらある。