サカサマのパテマ


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吉浦康裕の「サカサマのパテマ」を観た。

最も単純に解釈すれば、パテマたちの世界が無意識の世界であり、 エイジたちの世界が、秩序を至高のものとする意識の世界である。
意識の世界は、自らが無意識を含めた全体を支配していると 思っていたのが、実は無意識の方が本来的な立場にあり、 アイガ人は空も地面も無意識に支配されていたという エンディングであり、何ともフロイト的だなという感じだ。

その解釈で言えば、実験によって重力の方向が分かれたのは、 理由律を手に入れたことに相当する。
イザムラは「私」という近代的な自意識であり、管理センターは ファルスみたいなものかなと思った。

ラカン的に言えば、パテマの世界が想像界、エイジの世界が象徴界だろうか。
イザムラが落ちていった空の先に現実界があるのだとすれば、死の瞬間に 自意識がみるもの、あるいは狂気になることでみえるもの、という点で とてもよいメタファになっていると思う。

ドゥルーズ以降に展開されつつある、理由律の呪縛から解放された現代哲学という パテマとエイジの物語の続きを、吉浦康裕だったらどのように描くだろう。