モデル化の継続


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今更ながら振り返ると、理学ではなく工学の方が性に合っていたなと 感じられ、こちらに進んできてよかったと思う。
理学はあまりに真理の仮定が強すぎると思うが、それが合うかどうかは 性格の問題だろう。

エントロピック重力理論が、ダークマターを仮定しなくても観測データを 説明できるというニュースも出ているが、ポアンカレも指摘したように、 あらゆる理論は一つの理由付けというモデル化でしかなく、真実というのも 仮定されるものでしかない。
ダークマター存在せず? - 「エントロピック重力理論」と観測データが一致

真実が一つであることを仮定して、オッカムの剃刀を振り回せば、 「正しい」や「間違い」という評価は下されるが、元のツイートで 自虐的に語られる30年や40年はパァになったわけではない。
あらゆる理由付けが単なるモデル化であるからこそ、いずれは否定される 運命にあるかもしれない理論に従って理由付けすること自体にも、何らかの 理由付けがなされ、それを継続することができる。

あらゆるモデル化は無意味だと糾弾することは、意識への反逆であり、 意識がそれをするのは自己否定あるいは自己矛盾である。
ただし、意識はまさにその理由付け能力によって、矛盾を抱えることも できるのであるが。
意識だけが理由を気にするのだとすれば、それを続けることでしか、 意識は意識たることを噛みしめることができないと思われる。

そうやって世界をモデル化して得心しようとする行為の、 何と役に立たないこと。
そこに意味を見いだせるとは、何と人間的だろう。
An At a NOA 2011-12-08 “numerical models