VR, AR, Reality


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現実は、入力される情報に応じて構成されるもの であり、何らかの意味で「近い」情報のみが選択 的に共有されることで、異なる現実が構成される。
VRとARとRealityの違いは、距離空間の取り方の 違いだと言える。

Realityの場合には、空間的、時間的に近いという 物理的な制約によって、共有される情報が決まる。
むしろ、Realityを構成する情報のことを、空間的、 時間的に近いと認識すると言うべきかもしれないが、 その違いはあまり重要ではない。

通信技術が変化することで、物理的には遠かった 情報が共有できるようになったり、近かった情報を 共有せずに済んだりするようになると、Realityは 別の現実へと変化する。
それは、新しい「近さ」や「遠さ」が設定される ということであり、現実の変化は距離空間の変化 として捉えることができる。
蓄音機、印刷、電車、写真、電話、ネットあたりは 比較的わかりやすい例だが、眼鏡、耳栓、望遠鏡、 顕微鏡、言語なども、現実を変化させる通信技術の 一種だと言える。

VRとARの違いを生むのは、変化した距離空間に おいて、Realityの「物理的な」距離空間がどの 程度継承されているかということになるが、 その閾値は曖昧であり、VRとARとRealityは、 「物理的な」距離空間の影響度が小さいものから 大きいものへのグラデーションとして捉えるのが よいように思う。

Realityの「物理的な」距離空間に生きる人間と、 それ以外の距離空間に生きる人間との間には、 「近くて遠い」という感覚が生まれる。
それはつまり、不気味であるということだ。
距離空間を一致させれば不気味さは解消されるが、 別の距離空間の取り方があることを認識するだけ でも、不気味さはある程度和らぐだろう。