タコの心身問題


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ピーター・ゴドフリー=スミス「タコの心身問題」 を読んだ。

少し距離をおいてmindというものを考えるのに、 タコはちょうどよいのかもしれない。

神経系の自由度が増加することで、同じ刺激に対して 示すことのできる反応の選択肢は指数関数的に増加する。
それによって生じる刺激に対する反応の不確定性を、 ベルクソンは主観性と関連付けた。

乖離してしまった刺激と反応の不確定な関係の中で 繰り返される、判断できない状態と判断してしまった 状態の間でのスイッチング。
「不安」と「安心」と名付けられるであろう二つの 状態の狭間で、「不安」に陥ることを可能な限り 回避しようとするのは、複雑な神経系の上に現れる 刺激と反応の乖離としての心の運命なのだろう。

あるいは遠心性コピーのように自己の内部において。
あるいはオクトポリスのように自他をまたぐように。
様々な形態のコミュニケーションを介して、 心は「安心」を志向し続ける。