金沢
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学会で金沢に来ている。
発表は初日に終わったので、昨日は市内を観光していた。M1の冬に来て以来だから、およそ10年ぶりか。
最近、能を観に行くようになったので、能楽美術館に行きたかったのだが、あいにく展示替え中。6日には次の展示が始まるようだが、6日の午後はロボット溶接のPDを見に行く予定なので、残念ながら今回はパスだ。県立能楽堂も中に入れず。
鈴木大拙館はやや人が多かったものの、谷口吉生さんらしいディテールや空間が、哲学者のための建築として非常にマッチしていた。ああいう場所でひねもす本を読み、考え事をできたら、いかばかりか幸せだろうか。
兼六園やひがし茶屋街にも足を運んだが、10年前とあまり変わらない印象だ。それはそれで、長年続いているもののよいところである。ひがし茶屋街へ歩く途中、森八本店で菓子木型美術館なるものを見つけ、帰りに寄ってみた。流れているクラシック音楽とはあまりマッチしていないが、千点以上の木型がぎっしりと並べられた様は圧巻で、思わず見入ってしまう。木型という発想自体は同じものの大量複製に通ずるが、木型そのものは手作業による一品生産であるという、オリジナルとコピーの対比が面白く、やはりオリジナルとみなされるものだけが展示に耐えるのかもしれないという考えが浮かぶ。
金沢21世紀美術館に戻り、佐藤浩一氏の「第三風景」を観る。性と身体を奪われたイチジクを通してユートピア=ディストピアを描く展示は、最近読んだ「幸福な監視国家・中国」で取り上げられていた功利主義の果ての反自由主義ともテーマを共有しており、なかなか楽しめた。原子、細胞、身体、家族、国家、…、どのレベルにおける個体を重視しているのかを意識すべきなのだろう。メインの粟津潔氏の展示は、あまりに混んでいたので回避。