代数的構造


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友人に勧められた森敦の「月山」「意味の変容」を 読み進める中で、「構造」とは何かと考えることが多くなった。
建築の構造を専門とするからには、 非常に重要なテーマであると言ってよい。

森敦がヒルベルトに影響を受けているということで、 久しぶりに数学に関する本に手を出してみた。

  • 代数的構造 遠山啓
  • 無限と連続 遠山啓
  • 現代数学入門 遠山啓
  • 現代の古典解析 森毅
  • 思想の中の数学的構造 山下正男
  • 論理学史
  • 圏論による論理学 清水義夫

寄り道的な買い物が多く、明らかに買いすぎた。

「代数的構造」から読み始めているが、 遠山先生の文章はとてもわかりやすい。

数学者が構造を作り出し、物理学者が実在と結びつける、 あるいは物理学者が必要な構造を依頼し、数学者が創造する、 という例えは、建築家と構造家の関係にも似たところがある。

森敦の「現実的構造」と「実現的構造」をとれば、 実在する建築物や船、植物等から表面的な部分を捨象し、 そこに潜む共通事項を削りだしていくのが帰納による「現実的構造」であり、 応力伝達の在り方のようなものから公理を設定し、 トラスやラーメンといったものを創造していくのが演繹による「実現的構造」 なのだろうか。