構造
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構造とは、2以上の事象間に見出される共通事項のことである。
事象が多種多様になることで一般化されるに従い、
より内奥の構造が得られる。
例えば、私と全く同じ人間が二人いたとして、その二人の間に見られる
物理的な身体の構造とは即ち私の身体そのものであり、
構造と表現形式は同一である。
しかし、日本人、人間、脊椎動物と対象を拡げていくに従い、
その構造は削がれていき、背骨、脳、頭蓋骨、半規管等といった
より少ない要素に集約される。それに対応して、実際の表現形式は
一見すると全く異なってくるようになる。
建築を含む工学の分野では、構造という言葉は
いくつかの材料を組み合わせてこしらえたもの。
また、そのしくみ。くみたて。
広辞苑 第六版
という意味でも用いられる。
この場合の事象の一方はもちろん当該工作物であり、
他方は法律や規基準に示されたもの、これまでに作られたもの、
あるいは自然界に存在するもの等である。
いくつかの材料が組み合わさった状態に既にあるものを参照し、
それと似たような組み合わせとすることで
新しい組み合わさった状態が得られる。
この「似たような」という部分にこそ、構造がある。
何をもって「似ている」とするのかが、
作り手のセンスによるとしたものがブリコルールであり、
そこに理由をつけようとしたものがエンジニアである。
建築構造という言葉の表面的な意味としては、
鉄骨のラーメンフレーム、鉄筋コンクリートの壁床、木の軸組等が
思い起こされ、実際の設計では構造部材と非構造部材という
カテゴリ分けもされる。
しかし、構造という言葉の意味が上述のようなものであるとすれば、
建築においてある空間を成立させようとしたときに、
空間を成立させるための仕組みに対する、これまでの知見との共通事項を
探る行為にこそ、構造設計という言葉の本意があるのではないかと思う。