系統樹思考の世界
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「分類思考の世界」に続き、三中信宏の「系統樹思考の世界」を読んだ。
系統樹思考と分類思考がそれぞれ理由付けと意味付けに対応するだろう
という理解は、本書を通しても強化された。
分類思考に即した自然分類は、おそらく認知心理学的な研究の 延長線上に到達できるものだろうと私は推測しています。
三中信宏「系統樹思考の世界」p.124
系統樹思考は「ものの見方」として意識的に採用する必要があるということです。
同p.124
というかたちで、分類思考は無意識的な過程、系統樹思考は意識的な過程
として区別されている。
この本で取り上げられる系統樹思考の方はアブダクションと呼ばれており、
第三章では、アブダクションによる推測が何をもってベストとされるのかについて、
ジョセフソン夫妻の提案する諸条件が列挙されている。
その中の六番目、
(6)そもそも特定の仮説を選び出す必要性があるかどうかを検討すること。
同p.179
が面白いと思った。
人間は何かの必要性にかられて系統樹思考=理由付けをしているのだろうか。
本書でも、生存に有利だったのではないかという著者の意見が何度か出てきており、
それにも賛同はできる。
ただ、生命がつまり秩序なのだという理解の下では、生きることと意味付けや理由付け
という抽象過程は、どちらがどちらのためというものではなく、同値関係にあることになる。
こうやってコンセンサスを取りながら、この世を秩序あるものと して理解しようとする姿勢が、つまり生きるってことだし、 人間ってことなんだと思う。
An At a NOA 2016-07-28 “なぜなぜ期”
最節約的説明の説明の中で、
最節約的説明は必ずしも正しいわけではありません。しかし、そういう真実とは 無関係に、Zさんは最節約的説明Hを掲示し、おそらくその説明は共感をもって 他の保護者に受け入れられるでしょう(真相が明らかになるまでは)。
同p.184
とあるのが、正しさや真実のありようを端的に表している。
「真実というものは他人の理解とは無関係です」という真賀田四季のセリフを思い出す。