所有
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アマゾン「キンドル アンリミテッド」サービスにおける 講談社作品の配信停止につきまして
「定額無制限」を掲げて失敗しなかったサービスって
未だかつてあるんだろうか。
オンラインストレージに関しては、現れては去りという
死屍累々の状況が数年前にあったように思う。
このところ思うのは、いろいろな面で所有から共有への
移行が進んでいるなということだ。
紙の書籍から電子書籍への移行や、CDから音楽配信
サービスへの移行といった、データの世界での話は
もちろんそうなのだが、車や自転車のシェアリングのように、
実世界においても進んでいる。
住居は大分昔から賃貸というかたちの共有がされて
きたが、通時的な共有だけでなく、ルームシェアのような
共時的な共有もかなり一般的になった。
UberやAirbnbのようなサービスも同じ流れだろう。
みんな、何かを所有するという負担を避けるようになって
きたということなのだろうか。
貨幣の発明によって物理的な所有のコストはかなり軽減
されたように思うが、データのみだとしても維持コスト
というのは相変わらずかさむ。
自由というのは責任を追求したいがために想定される
ということを書いたが、所有においても、当該対象を
所有する自由というのは、それを管理する責任と表裏一体
であり、これまで喧伝されてきた自由の側面が縮小し、
責任の側面ばかりが目に付くようになってしまったのかもしれない。
物理的身体というのは果たして所有対象だろうか。
個人的な認識としては、それは物理的身体というセンサの上に
生じたコンセンサスが意識や無意識であるから、意識が身体を所有
するというのは文字通り本末転倒でちゃんちゃらおかしいのだが、
意識による理由付けのストーリィとしては、まあ無碍に否定するほどでもない。
2016-10-05 追記
昨夜発表されたGoogleのPixelには画像と映像の無制限ストレージが
ついてくるらしい。
本体が$649するため、そこである程度フィルタリングされるとはいえ、
Googleですら定額無制限で失敗するとしたら他にできるところは
まずないだろう。
Googleはそれをユーザと共有することにメリットがあるから無制限を
掲げられるのだろうが、物理的なコストを上回る利益を上げられるだろうか。