現在
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現在とは、レンジを狭めた過去のこと An At a NOA 2016-11-18 “思い出への補足”
であるならば、「現在とは、過去の微分係数である
Present is derivative of past.」という表現にも、
一定の妥当性があるように思う。
(ただし、左側極限しか存在しないが)
しかし逆に、微分積分学の基本定理に従って、
過去とは、現在を積分したものである、と表現する
ことは、多くの誤解を招きやすいように思われる。
それは、現在が何か実在するものとして理解される
ことで、それを積み重ねることで過去というものが
出来上がるというイメージを喚起しやすいせいである。
だが、
抽象の度に随時更新されるセンサ特性が記憶であり、 過去である。
An At a NOA 2016-11-18 “思い出への補足”
と書いたように、通常、現在として認識される
ような姿をしているのは、むしろ過去の方であり、
それが変化する様子を概念化したのが現在なのでは
ないか、ということなのである。
バージョン管理システムにおいて、git logで表示される
コミット履歴の積み重ねではなく、そのブランチ自体が
記憶であり、過去なのだ。
ブランチは現在の姿をしているのではなく、普段は
ブランチが変化しない様を現在とみなしているのであり、
コミットする際には、ブランチが変化する様を現在と
みなしているのである。
このことが誤解なく伝わるのであれば、上記の「過去とは、
現在を積分したものである」という表現が含み得る誤解も
だいぶ減るのではないかと思う。
コミット履歴に表示されるものは、確かに「かつての現在」と
呼べるようなものではあるが、それは現在のスナップショット
ではなく、過去の変更内容としての現在の順列なのである。