思い出への補足


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記憶と思い出の話。

意味付けと理由付けは、それぞれ異なるネットワークに 抽象され、それぞれのネットワークのセンサ特性に 影響を与える。
両方を合わせたものが記憶であり、特に後者のことだけを 指す場合に、思い出と呼ばれる。

こうして抽象の度に随時更新されるセンサ特性が記憶であり、 過去である。
現在とは、理由付けによる抽象がセンサ特性に与える影響のうち、 直近のものを敢えて主題化したときに現れるものであり、過去との 違いはレンジの問題だけのように思われる。
つまり、現在とは、レンジを狭めた過去のことであり、 記憶=過去⊃現在のような関係にある。

そして、同期化に伴って時間概念が生まれるかというのは、 センサ特性の更新によって記憶=過去が積み上げられることを、 時間として認識するのだろうか、という問である。
理由付けと同期化が一体であり、意識が理由付けによって生まれる ことを踏まえると、時間=意識ということだろうか。

理由付けにおいて、同期化によってセンサ特性が更新される度に、 以前の同期化の影響は漸減していくが、これが忘却と呼ばれるものだ。

各抽象はネットワークのセンサ特性として残るだけなのに、 物事の前後関係が思い出せるのはなぜだろうか。
それは、因果律に関わっているだろうか。
理由律⊃因果律であるから、意味付けによる記憶では前後関係は 主題にならないはずであり、前後関係が想定されるのは、理由付け されることで、思い出になった記憶だけである。
果たして、因果律抜きの理由律はあり得るだろうか。