一面的な最適化
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ある方向からだけ見ながら最適化したものは、
とてつもなく脆くなる。
アルゴリズムによる構造体の最適化においては
想定した荷重に対しては最適だが、他の荷重に
対しては脆弱なものに収束することがあり、
それを回避するために冗長性が導入される。
3Dや彫塑でも、ある向きだけから作業していた
のでは、別の方向から見たときの形状が整って
いるかは定かではない。
建築の設計もまた同様で、意匠設計、構造設計、
施工監理、鉄骨製作等の様々な観点から整理
しないことには、よい建築にはならない。
建築の雑誌には、設計サイド、特に意匠設計の
観点からの整理のみが載ることが多いが、
個人的にはそれだけ読んでも「ふーん」くらい
にしか思えない。
思考もまた例に漏れず、多方向からの観点を要する。
これを一人の人間として行うのはとても難しいが、
できるだけ方向を固定化しないようには努めたい。
多方向から並行して最適化したものは、一方向からのみ
見ると最適でない領域が残るため、批判が出るのは
仕方がない。
しかし、一方向だけから最適化したのでは得られない
よさというのは、多くの人間に伝わるものである。
できるだけ多くの視点からの解釈に耐え得るものは、
当人が意図しなかった解釈も呼び込むことで、場所や
時代を超えて残っていくように思われる。