より抽象的であること


[tag:]

より抽象的なものが好きである。

より抽象的というのは、抽象された構造からより幅広く 多種の具象へ落とし込むことができるような特性である。
単に多くの具象化の可能性を有しているだけでは不十分で、 その潜在的な具象化を実現できることができる必要がある。

抽象を怠り、個々の表現をそのまま構造と言い張るのは 問題外であるが、抽象された構造が極少数の具象にしか 対応していない場合も、言わば具象としての表現が構造と 膠着してしまっている状態であり、あまり興味がわかない。

抽象芸術にはあまり詳しくないのだが、あれはおそらく 具象化された対象としての作品を多く見ることで、その 作品群としての抽象性が把握できる種類のものなのだろうと 想像する。少数の作品を見ただけでは、少数の具象化可能性 しか有しないものとの差を見極めるのが難しい。

おそらくこういったことが、抽象abstractを曖昧obscureと 混同させる原因になっているのではなかろうか。