より抽象的であること
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より抽象的なものが好きである。
より抽象的というのは、抽象された構造からより幅広く
多種の具象へ落とし込むことができるような特性である。
単に多くの具象化の可能性を有しているだけでは不十分で、
その潜在的な具象化を実現できることができる必要がある。
抽象を怠り、個々の表現をそのまま構造と言い張るのは
問題外であるが、抽象された構造が極少数の具象にしか
対応していない場合も、言わば具象としての表現が構造と
膠着してしまっている状態であり、あまり興味がわかない。
抽象芸術にはあまり詳しくないのだが、あれはおそらく
具象化された対象としての作品を多く見ることで、その
作品群としての抽象性が把握できる種類のものなのだろうと
想像する。少数の作品を見ただけでは、少数の具象化可能性
しか有しないものとの差を見極めるのが難しい。
おそらくこういったことが、抽象abstractを曖昧obscureと
混同させる原因になっているのではなかろうか。