サイバーパンク


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「楽園追放 rewired」という本の冒頭で、虚淵玄が 伊藤計劃との思い出を語っている。

伊藤計劃が言うには、サイバーパンクとは、 「人とは何か」「テクノロジーは人間をどう変えるか」
といった問いを内包していることで定義される。

ウィーナーが「サイバネティックス」を著したのは 1948年で、サイバーパンクの王道とも言えるギブソンの 「ニューロマンサー」が出たのは1984年だ。
でも、上記のような問いを基準に考えれば、19世紀以降だけで 言っても、進化論、エントロピーといった概念や、蒸気機関、 解析機関といった装置を受容する過程もサイバーパンクと 呼べるものになる。
1872年の「エレホン」や1932年の「すばらしい新世界」 だって、「サイバネティックス」が書かれる前ではあるが、 とてもサイバーパンクなのである。

しかし、作品に問いが内包されていることはサイバーパンクの 必要条件に過ぎず、読み手が問いに応えることでサイバーパンク と呼べるようになる。
応えるというのは、答えを出すことに限らず、問いに関して 思考を巡らし、また新たな問いを発することで、その応答自体が サイバーパンク的になるということだ。

常にサイバーパンクのよき受け手でありたい。