パリ協定


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アメリカのパリ協定離脱は、イギリスのEU離脱よりも 歴史的な事態になり得る。

今回の決定はトランプ大統領一人の判断ではないはずだが、 Google、Apple、Tesla、Facebookといったテック企業 だけでなく、GEのような企業も反対しているらしいというのに、 一体どこが賛成しているのだろうか。
あるいは、誰も賛成していないとしても、常に単調に増加する という資本主義の前提がそうさせるのかもしれない。

山本義隆は「熱学思想の史的展開」の中で、

生存条件の維持にとって決定的なことは、エネルギーの枯渇 ではなくあくまでもエントロピーを増加させないメカニズムが エネルギー(熱)を媒介として作動していることにある。
山本義隆「熱学思想の史的展開」p.335

という視点を提示した。
地球もまた一つの抽象過程=生命であり、太陽放射や 潮汐によって入力されたエネルギーと宇宙へ放射される エネルギーのエントロピー差によって地球上のエントロピー 増大を防いでいる。
エネルギー収支のバランスの崩れはエントロピーの変化を もたらし、本来はエネルギーよりもこちらの方が抽象過程 にとっては致命的になる。

現状では代替のきかないハードウェアである地球という 抽象過程のためなら、国民国家一つくらい割とあっさり なくしにかかれるのではなかろうか。
United States Climate Allianceを組織する対応の早さに、 何かしらの再編成を伴う可能性を感じる。
さて、切り捨てられるのは大統領か、アメリカか、 資本主義か、国民国家か、人間か、地球か。
決断が先延ばしになればなるほど、選択肢はより大きな ものだけを残してなくなっていく。