語るボルヘス
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J・L・ボルヘス「語るボルヘス」を読んだ。
「書物」「不死性」「エマヌエル・スヴェーデンボリ」、
「探偵小説」、「時間」の五つのテーマを通して語られるのは、
解釈と同一性についてである。
書物はひもとくたびに変化するのです。
J・L・ボルヘス「語るボルヘス」p.28
不死性は他人の記憶の中、あるいはわれわれの残した作品の 中に生き続けることなのです。
同p.51
われわれのかなりの部分は自分の記憶によって作り上げ られています。そして、そうした記憶の大部分は、忘却 によって作り上げられているのです。
同p.113
スヴェーデンボリの照応の理論やポーの探偵小説というのも、
彼らが生み出した解釈である。
そうした記憶し忘却する解釈の過程がさまざまにある中で、
物質としての本、肉体、絶対時間などがよすがとなって、
その都度見出される同一性が、作品、わたし、現在だろうか。
私とはいったい何者なのでしょう?
われわれ一人ひとりとはいったい何者なのでしょう?
われわれはいったい何者なのでしょう?
いずれそれを知る時が来るでしょう。
ひょっとすると来ないかもしれません。
同p.129
忘れてしまっては何も残らない一方で、 忘れることで時間が流れる。
不断に忘れられ続ける世界において、 憶えては忘れるという反復によって、 忘れられることに抗うのが生命である。
An At a NOA 2017-07-14 “不断に忘れられ続ける世界”