北斎とジャポニスム
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西洋美術館の「北斎とジャポニスム」展を見てきた。
色の境界に着目したとき、北斎の絵には線があるのに対し、
西洋の画家の絵には線がない。
それは版画と油絵という表現方法の違いによるものなのかも
しれないが、それぞれの画法が発展したことも含めて、
日本には線画の、フランスには面画の文化があるように思う。
これは、木材を使った軸組構造と石材を使った組積構造の違いと
関係あるだろうか。
あるいは、海岸線という明瞭な境界に囲われた島国と、山や川が
曖昧な境界となる欧州大陸の違いと関係あるだろうか。
いずれにせよ、モチーフを北斎から拝借しつつも、表現スタイルは
それほど侵食されなかったという印象を受けた。
スタイルは物理的身体のように変化しづらく、モチーフは心理的身体
のように移ろいやすい。
ここにも、物理的身体への異なる心理的身体のインストールという
アイデンティティの問題があるように思う。