主客のハーモニー


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一体だったsujetとobjetを対立させたのは、 近代の発明だろうか。

近代的なsujetはobjetのひっかかりによって 維持されるため、sujetはobjetをひたすらに 蒐集する。
そのひっかかりとは、sujetとobjetを内と外 として峻別する膜のことであるように思う。

伊藤計劃「ハーモニー」で、御冷ミァハは 後天的に意識を実装したと描かれるが、 本来はすべてのsujetが、言語や文化、常識 などの膜によって後天的に獲得される。
多くのsujetは、そのことをほとんどの時間 において忘れているだけだ。

そのことを束の間強制的に思い出させるかの ように、sujetとobjetを隔てる膜を消し去る ハーモニー・プログラム。
その是非を判断する役目は、何が担えるだろうか。