写真の虚実


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判断の一致によって「真」が定まる過程において、 真には実部real partの他に虚部imaginary partが 含まれる。

「実部と虚部」という分類は、「物理的身体と 心理的身体」や、「知覚と感覚」という分類から 生まれ、実realityというのは物理的身体の判断に よって定まる真truthの一種だと言える。

実部を取り出すことを「写実photo-realistic」、 虚部を取り出すことを「写虚photo-imaginary」 と呼べば、真が実部と虚部からなることで、 写真にも写実性と写虚性とが綯い交ぜになる。

写真に写実性だけをみて真と実を同一視するのは、 近代以降の科学がやろうとしたことと同じ方向を 向いている。
その機械論的傾向は、写真機を目になぞらえる ことが多い一方で、現像過程を思考になぞらえる ことが少ないことにも表れているように思う。

写真が必ずしも写実的でないことが問題になるのは、 デベロッパやフィクサの仕事があからさまになり 過ぎて、思考を誘導されると感じるからだろう。
報道や広告と同様、良し悪しである。