対称性人類学
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中沢新一「対称性人類学」を読んだ。
対称性論理と非対称性論理という区別は、
抽象過程における同一視の基準の変化の
緩急の違いに対応しているのだと思われる。
非対称性論理では、同一視の基準を固定化し、
抽象の仕方を不変・普遍なものにすることが
目指されるのに対し、対称性論理においては、
場面に応じて基準が変化する。
ただし、対称性論理においても、基準が全く
ランダムに変化してしまえば、「対称性論理」
という一つのものとして維持されないため、
許容される変化の仕方にも、何らかの傾向が
現れざるを得ない。
宗教、神話、科学、意識、無意識、などと
して概念化されるのは、その傾向である。
結局、対称性論理と非対称性論理の区別も、
「どのような同一視の基準の変化の仕方を
是とするか」という同一視の基準に基づく
抽象化の現れである。
「非対称性」や「形而上学」として批判
されているのは、「同型」であることの
基準を一途に固定化しようとする傾向で
あり、何らかの基準に基づいて同一視
すること自体は避け難いように思う。
それは、何かを認識したり、理解したり
することそのものである。