理想と現実
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複数の理想のオーヴァラップが現実であるから、
一つの理想を基準に取ると、現実は理想とは
かけ離れた不純なものに映る。
「何もしない」という現状維持の傾向もまた、
重層する理想の一つであろう。
それは通常は理想とはみなされないが、数ある
理想のうち、エネルギー的には最も有利であり、
卓越していることも多いように思う。
抽象的には、最小作用の原理ということだ。
これは極めて自然な理想であり、それとは
異なる理想が卓越した現実を実現するのが、
つまりは人工である。
人工を突き詰めると、極限では、現状維持が
実現するものとは別の純な現実に漸近するが、
時間・空間的に不変・普遍化した純な現実ほど
恐ろしいものはない。
自然であれ、人工であれ、純な現実は局所的に
実現するくらいが丁度よい。