キャリブレーション


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現代の構造解析では

  1. 構成方程式
  2. 変位の適合条件式
  3. 応力の釣合条件式

を条件とした上で、応力を既知のものとして変位を未知数とするものを変位法、 変位を既知のものとして応力を未知数とするものを応力法と呼ぶ。

果たして、変位と応力を既知のものとした上で、2と3を条件とすることで 1を未知数とするような構造解析は可能だろうか。

構成方程式が未知ということは、直接剛性法が適用できないことになる。
P=KdにおけるKを変数に取るため、瞬間瞬間の変位と応力の辻褄を合わせながら 接線剛性を変化させていくのである。

変位はひずみの積分量であり、外力は応力の積分量と釣り合う。
変位と応力の情報からでは積分の過程の情報を得ることが難しいかもしれない。
しかし、変位の空間座標に対する微分、時間に対する微分も得られるのであれば 再現可能だろうか。
弾性範囲内では十分可能であろうが、塑性域に達した後のひずみ分布の仮定に 難があるだろう。時刻歴で応力ー変位関係が追えれば可能性はあるだろうか。
さらに、デジタルデータの微分はノイズの影響の問題がある。

もし上記の方式での構造解析が可能であれば、実験と解析の関係は 現状のものとは少し変わったものになっていくだろう。
現代では実験の再現解析というものがよく行われるが、その再現性に対する 工学的な指標はないに等しく、また再現性を高めるための方法論も確立していない。
しかし、上記の方法が可能になると、実験データを基に解析用の構成方程式の 最適化をかけることで荷重及び変位に関する境界条件を任意の精度で再現するような 解析モデルを構築することが可能になる。
これはもはや実験の再現解析というよりも、解析モデルの実験によるキャリブレーションである。

そして、材料試験はまさにこれを行っているのである。