χの悲劇


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「χの悲劇」を読んだ。
Gシリーズも最初は文庫版を買っていたのだが、 ここ3冊くらいはノベルス版を買っている。

懐かしい話がいろいろと出てきた。
時系列や人物関係が整理しきれていないけど、 自分でやるとなると億劫だな。
海月くん目線のシリーズとかやってくれないだろうか。

個人的なハイライトは、島田さんとカイが初めてリアルで 会ったシーンでの会話。

でも、気付いたんだけど、私たちって、理由のないものを 受け入れない文化に染まっているのよ。
(中略)そういうのの上に科学というものが築かれていて、 私たちはずっと、その科学を信仰しているわけ。その神髄 は何かと言えば、物事には説明ができる理由があるってことなの 森博嗣「χの悲劇」p.185

あとは、これを受けるように、エピローグ手前の夢の中。

その問いが、すなわち命なの。
同p.286

メイヤスーの「有限性の後で」の主題である理由律の問題は、 個人的には森博嗣の著作で、真賀田四季の思想として触れたのが 最初だったと思う。

それにしても、島田さんの能力は凄まじい。
ホテルを脱出してから山の中の小屋に4日、沖縄で2日、 カナダで1年+3日+3週間+2週間+4週間+8週間+数日+1週間と1日 だから、入院するまでおよそ1年と5ヶ月だ。
入院からカイが訪れるまで1ヶ月半で、その2週間後に亡くなったとき 享年89歳なのだから、事件時には−1歳半だとすると87〜88歳だったことになる。
その歳でリアルでもネットでもあれだけ動き回れるとは驚異的だ。

「すべてがFになる」では島田さんは「まだ若そうである」と表現されているので、 20〜30代だとすると、それから約60年後の話ということか。
あと2作もこの時代のストーリィなんだろうか。

2016-05-09 追記
ミナス・ポリスはつまり、百年シリーズのルナティック・シティということか。
森ぱふぇにある年表を参照すると、  ・1997年、「有限と微小のパン」の時点で島田さんが32歳  ・2013年、ルナティック・シティ建設 とある。「χの悲劇」の舞台が1997+89-32=2054年であるから、 既に建設後のはずだ。
カイ=海月及介?はミナス・ポリスのプロジェクトに関わっている。
「女王の百年密室」に出てくるカイ・ルシナとは関係あるんだろうか。

そういえば、真賀田研究所にいたという小山田真一のアカウント名は ジェリィjellyであり、クラゲはjellyfishである。
小山田=保呂草潤平で、保呂草さんと各務亜樹良の息子が海月くん ということなんだろうか。
同年表によれば海月くんの生年は1979年頃で、そのとき保呂草(34)、各務(39) だからあり得なくはないか。

あと、金さんは飛行機事故で姉を亡くしたと言っているから、 金子勇二と同一人物で、奥様がいると言っていたのはラヴちゃんのことだろうか。
というか、島田さん以上に西之園萌絵を知っていると言っているんだから 間違いないだろう。
このとき、金子くんは2054-1991+17=80歳である。