整合性の破綻
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意味付けのみに基づく自然な判断機構においては、
整合性が破綻しない。
それは非常に長い時間スケールにおいて、すなわち、
多数の判断機会を確保することで、整合性を担保しながら
判断および変化していく。
自然の織り成す風景が美しいとすれば、そのような
理由の不在による整合性に由来するのだろう。
そこに投機的短絡を持ち込むことで、整合性を破綻させる
代わりに、とてつもなく短い時間スケールの中で判断および
変化するようになったのが、理由付けに基づく意識という
判断機構である。
破綻した整合性を何とか補修しようとする努力としての学問は、
その究極として、整合性の復活による自然の美しさの再現を
目指すが、ゲーデルの不完全性定理によれば、演繹的な手法は
整合性を担保できない範囲を有し、また、整合的であることを
自ら示すこともできない。
理由を欲する人間は、AIのはじき出す論理に基づかない整合的な
判断を受け入れるのに苦労するだろう。
理由付けによってわざわざ崩した判断の整合性を、論理によって
再生しようとする様は、とてつもなく滑稽にみえるかもしれない。
しかし、その方法によって意識はこれだけ短い時間で多くの判断を
下してきたのだ。
では、情報処理能力の発展により、短い時間スケールにおいても
多数回の判断が下せるようになったとき、そこに理由を求める
理由はなんだろうか。
こうして、充足理由律の渦の中に落ち込んでいく人間を描くSFも
面白いかもしれない。