SHIROBAKO


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「SHIROBAKO」を観た。

アニメ制作の現場が主題だが、建築の現場にも 通ずるところが多く、とても感銘を受けた。

建築では施主が原作者やスポンサー、意匠設計が監督や プロデューサー、構造設計や設備設計が脚本や演出、 現場監督が制作進行、職人が原画や3D、美術、声優等に あたるだろうか。作監や美監は主任技術者か。
原作者、監督、デスク、作監等が、それぞれ自分の基準を ベースにプライドをもちつつ、ある部分では頼り、ある部分 では無理を強いながら、一つのよいものを作ろうとする姿は 見習うべきところが多い。

アニメ業界では原画上がりで監督をやったりする人も多い だろうが、建築では有名な意匠設計者や構造設計者に職人 上がりという人はほとんどいないように思う。
そういう設計者と一緒に仕事をしてみたいとも思うし、自分 自身、木工だけでなく溶接や建方等のものづくりの経験を もっと積みたい。
まずは、同じ脚本を書くにも、監督やデスクだけでなく、 作監や美監を始めとした職人勢とも話をする機会を、多くの 現場でもてるとよいと思う。

全体のストーリィの他にも、ところどころでものづくりの よい話が出てくる。
22話に出てくる、藤堂美沙の作った3Dに対する安原絵麻の指摘、 「3Dはコンピュータが自動で中割りをしてくれるでしょ」は、 設計が自動化していく中で、自動化によって省略される部分を 如何に上手く使うかのヒントになる。

テンポやパースが正確すぎると、逆に快感が湧かないんじゃないかな 「SHIROBAKO」22話

その場で藤堂美沙が修正してみせたように、省略された部分を 見つけ、適切な修正を施すことで、コンピュータの処理結果と して得られる出力でも快感が湧くようなものにはいくらでも 近付けられるだろう。
そのためには、自動化によって省略される部分を意識することと、 必要に応じて自動化部分の較正を行うことを忘れないことだ。
人間が快感を覚えるような出力を調整するための、最も有能な キャリブレータは、今のところ人間自身なのだから。