視覚のシンボル化


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少し前にGoogle翻訳がリアルタイムでできるようになった。
スマートフォンをかざして翻訳 -- Word Lens 日本語版登場

画像認識の精度が甘いことをネタにした画像が一時的に 流行ったが、人間の視覚のシンボル化の程度が高いことを 端的に表しているようで興味深かった。

現状、ほとんどすべての視覚情報は、目というセンサから 入力され、視神経を通って脳に入り、処理される。
網膜の光受容細胞が反応する段階では、おそらく波長以外の 抽象は行われていないだろうから、シンボル形成の抽象が なされるのは視覚野においてである。

ある言語の視覚情報を長い期間受け取っていることで、 それはシンボルとして受け取らざるを得ないように センサ特性が特徴付けられている。
日本語は日本語にしか見えないし、日本語でないものの中に、 日本語として認識できるパターンを探すことも通常はしない。

幼児の視覚体験はWord Lensのように始まるのかもしれない。
言語に限らず、物を物として認識する、あるいは空間すら、 空間として認識するようになるまでに、トライアンドエラーを 繰り返して特徴抽出していく。
その過程を経たであろうことを意識しないでいられるのが、 意識という心理的身体のアドバンテージなのだろう。