物理層


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物理層は、インターネットを構成するケーブルの配線だけ でなく、人間の物理的身体や国家の制度など、至るところ に遍在している。
分散化だ、リゾームだ、プロトコルだ、ネットワークだと 言ったところで、結局のところP2Pな形態に移行できない のは、物理層の変化がアプリケーション層の変化に比べて ゆっくりだからなのだろう。

その変化の遅さがつまり短絡の堅実性、ハードネスであり、 それによって複数の抽象過程=身体が重層的に存在できて いるように思う。
ハードウェアの変化が十分に遅いことで、ハードな「自然」 とソフトな「文化」の分割の共有に支障がなくなると同時に、 その共有によって、ソフトな部分もまた、別な抽象過程に とってのハードとなる。

人間でありつつ、村でありつつ、国家でありつつ、地球で ありつつ、臓器でありつつ、細胞でありつつ、原子である という、抽象過程=身体の重層性。
地球も、国家も、村も、人間も、細胞も、臓器も、原子も、 何かしらの集合であり、集合は基準とともにある。

集団を抜きに真理が存在しないのと同程度に、真理の共有なしには 集団は存続できない。
An At a NOA 2016-07-05 “随想録1

それはそれで見方としてはよいのかもしれないが、要素の 集合が全体になるという、要素還元主義的な発想になり かねない。
むしろ、それらはそれぞれ抽象過程=身体であり、あらゆる 抽象過程は同一性の基準とともにあるという見方の方が しっくりくるように思う。