アナログとデジタル


[tag:]

デジタルはアナログに比べると離散的であり、 それはある規則に従って元の情報を別の記号で 置換することで達成される。
デジタイズとは、情報を記号によって置換する 過程である。

置換後の情報が置換前の情報に対する真の 部分空間となっていれば、一部の情報は欠落 するものの、情報処理の負荷が下がる。
このときの部分空間への縮退が、情報の離散 的な状態を生んでおり、離散化された情報で 元の情報をうまく表現するには、規則の設定が 重要になる。

言語、音階、暦、貨幣、UTF-8、24bitカラーなど、 身の回りはデジタイズされた情報にあふれているが、 何らかの判断基準に基づいて「同一視」する過程が デジタイズだとすると、認識や理解を含むあらゆる 抽象過程がデジタイズだということになってしまう。

デジタイズを特徴付けるものがあるとすれば、 ひとつには離散度の高さだろう。

アナログとデジタルの違いって 解像度の違いのことでしょ?
An At a NOA 2015-07-15 “A/D

当該抽象過程によって、より集約された情報で元の 情報を表現できるようになるのが、デジタイズである。
ただし、その閾値は曖昧である。

もうひとつには、その抽象過程が意識的なものである ことだと思われる。
つまり、物理的身体による意味付けでなく心理的身体 による理由付けであり、堅実的短絡でなく投機的短絡 であり、ある種の飛躍や逸脱を含むということだ。
物理的身体にハードコードされた無意識的な抽象過程は、 デジタイズとして意識されない透明な抽象過程であり、 アナロジーという判断基準に基づくアナログな抽象過程 として分類される。

離散度の高さと意識による飛躍の二つがデジタイズの 要件だとすれば、後者によって、アナログとデジタルの 境界は判断基準の固定度にしたがって揺らぐ。
一つの判断基準に固定化することで抽象過程の透明度は 増し、かつてのデジタルはいつかアナログとなる。
それは大いなる常識へと壊死することだと言える。
近代的ユートピアの果てにあるディストピアにおいては、 あらゆるデータがアナログになっているだろう。

p.s.
「アナログかデジタルか」という抽象過程についての抽象は デジタイズである。
ただし、ステレオタイプによってかなりアナログ化している ように思う。