構造と自由


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多くの対象から共通部分を抽出したものが 構造であり、共通であることの判断が、 何を同じとみなすかの判断基準に依存して いることを踏まえると、構造と判断基準は 表裏一体である。

コミュニケーションが成立するには、構造や 判断基準がしっかりとしている必要があるが、 判断基準が固定化すれば、構造も固定化する。
力学やこれまでに建ってきた建築物を踏まえる 必要はあるが、柱や梁、筋違といった分類だけで 捉える限り、建築の構造はある枠内に留まる。

自由とは、通信可能かつ応答可能な状態で、 判断基準がすり合わせられることだと思うと、 「構造」という見方そのものが、本来的には 自由であるための足がかりになるはずだ。

「構造」という言葉の重要性とは、建築家が 以下のような障害を乗り越え、支持体系を 考えられるようになったことにある。
その障害とは、二千年にも達する、既存のもの に関する知識に由来する、蓄積された慣習的な 知恵である。
エイドリアン・フォーティー「言葉と建築」p.431