現像と夢


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ゲンロンβ46で大山顕のインタビュー「「表面」を収集する」を読んだ。

写真はどこまでも表面で、その表面性を拡張するものとしての現像行為を拡大解釈していくという話が面白い。

撮影によって収集された潜在的な表面たちが、developingで顕在化し、fixingで新たな像として定着する。processingは、あたかも覚醒中の体験が混ざり合って再現される夢のような過程である。

目や耳といった知覚センサを通して受信できる情報は、世界のデータのほんの一側面に過ぎない。それにもかかわらず、その断片的な情報を元に神経系の上で深層学習を行い、世界を一つの立体的なものとして捉えられるのは驚異的な能力である。この断片から立体への創造的な統合のトライアンドエラーが夢なのだとすれば、現像行為もまた、まだ見ぬ世界の新しい姿を捉える手段として幅を広げていく可能性を大いに秘めているのだろう。