スタジオカラー10周年記念展


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スタジオカラー10周年記念展に行ってきた。

アニメ制作もデジタル化していく中で、こういった 「もの」の展示がいつまで効力を発揮するのかには 興味がある。

来場者に配られる冊子のインタヴューを読むと、 やはり手仕事として残っている部分はまだあって、 作り手としても残したい部分があるようだ。
これは、構造設計でも同じだろう。
どれだけ高性能なハードウェアやソフトウェアが できたとしても、自分で設計するならRPN電卓と スケッチ用の紙とペンは使いたい。
電卓も自分でアプリを作ったが、やはり物理ボタンが あるのとないのとでは、速度と精度が圧倒的に違う。
視覚的には十分でも、触覚へのフィードバックが足りない。

フルデジタルで作られたアニメーションの制作過程を、 わざわざプリントアウトして「もの」にして、見る側を 物理的に集めて展示を行うことは、何か意味を持ち得る だろうか。
デジタル空間でデータ配信を行い、各自がHMDをつけて 自宅で見るのでは得られない「何か」(それはつまり、 いわゆるアウラなのだろうが)は、それでもあるのだろうか。
現実を構成するためのコンセンサスの幅が狭いと言うので あれば、それを補強することだってできる(ニコニコ動画は コメント機能によって、それを行った)。
それでもそこにアウラを見るのであれば、それは知覚が 感覚になるときに織り込まれた情報によるものであり、 要するに思い込みだ。

より大きいコンセンサスへの希求としてのアウラは、 充足理由律と同根だろうか。

そう言えば、デジタル空間は何次元にみえるんだろう。

p.s.
表参道に行ったついでに、蔦珈琲店に立ち寄った。
旧山田守自邸を改装した建物のようで、庭がきれいだ。
そして、コーヒーがうまい。
また行こう。