GNMTというプロトコル


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将来的には、しかもかなり近い将来という意味において、 この優位性は漸減していく可能性が高いと見積もるのは妥当に思える。
それは、翻訳というプロトコル変換が技術的に可能であり、またそこに リソースが割かれるだけの理由が十分にあるように思えるからである。
An At a NOA 2016-05-08 “プロトコルの統一

日本語と英語の間でのGoogle翻訳の精度が 急上昇したと話題になっているらしい。
中国語と英語の間では既に導入されていたGoogle Neural Machine Translation(GNMT)が日本語との間にも適用されたようだ。

やはりこういう技術にはリソースが割かれるので、自動翻訳に ついての記事で書いたような仕組みがちゃんと現実のものになった。

そもそも、自然言語という通信プロトコル自体が、各個体ごとに 展開された理由付けの抽象過程間の通信時に用いられる、 人体というニューラルネットワークを利用した自動翻訳にもみえる。

それぞれが投機的短絡によって下した判断の内容を通信する。
投機の度合いや短絡の経路が異なるため、通信なしにはもちろんのこと、 通信をしても最初はあまり上手くいかないだろうが、物理的身体の センサ特性の共通性によって、少しは成功する部分があるはずである。
通信するたびに蓄積した情報が圧倒的大量なものになることで 特徴抽出が進行し、やがて実用に耐える評価機関になる。
言語は、それを用いる集団にとっての無意識のようなものだと言える。
通信内容が変化すれば、当然評価機関の判断も変わるので、 言語は時代や場所によって少しずつ変化していく。
結果的に言語は人間が受け取る入力情報を抽象したものになるので、 VR装置のような役目も果たすようになるのかもしれないが、 どちらかというと、特徴抽出によって組み立てられる、理由付け機関同士の 微妙な差異を吸収するための緩衝装置の役目の方が先なのかもしれない。
(パートナーシップの話も参照)

エスペラント語のような人工言語の普及が難しいのは、こういった 意味付けによる形成や変化を経ず、理由付けによってすべてが 固められるからなのだろう。
自然言語にも当然理由付けされる部分はあり、それは文学と 呼ばれるが、両輪が必要なのはほとんど確からしい。
このあたり、早期バイリンガルと後期バイリンガルで脳の活性化領域が 異なるというカンデル神経科学第一章の話にも通ずる。

早期バイリンガルは意味付け回路で処理を並列化 することで、高速な言語処理を達成しているのかもしれない。
だとすれば、言語処理のかなりの部分が理由付けでなく意味付けに 基づいているのかもしれない。
An At a NOA 2016-09-16 “意識の並列化

GNMTにあらゆる理由付け機関の入力を集約することで、 バベルの塔の夢を部分的にでも叶えることは可能だろうか。
それは、老夫婦のようなパートナーの間にしか実現できない 以心伝心のような情報通信の可能性も拓くだろうか。
そのとき、“プロトコルと実装”や“プロトコルの統一”で挙げたような 懸念はどのような姿で現れるだろうか。